司法書士は、身近な「くらしの法律家」として、地域社会に貢献していくことができる法律専門職の国家資格です。
不動産・商業登記の手続、供託の手続き、裁判所などへ提出する書類の作成、多重債務問題への対応、高齢者・知的障害者の財産の管理や後見人事務などの幅広い業務を通して、依頼者の権利・財産を守る役割を果たしています。
また、近年、簡易裁判所における訴訟の代理など業務範囲も拡大して、ますます司法書士の活躍の場が拡がっています。
年齢、性別を問わず、様々な方が司法書士試験にチャレンジされていますが、取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか。
独立開業しやすい!
これは、司法書士試験が実務に直結した試験であり、試験で学んだ知識を実務でも発揮しやすいためです。合格後の新人研修も充実しており、実務をするための知識を学ぶことができます。 また、開業するために自宅を事務所として開業することができること、パソコン、プリンタ、電話、FAXなどがあれば、特別高価な設備がなくても実務を行えることも、独立開業のしやすさといえます。 |
年齢、性別を問わず成功のチャンスがある!
35歳以上の合格者の割合は5割以上です。また、司法書士として定年はありませんので、努力次第で一生続けていく仕事にすることができます。 合格者の男女比率は、女性が2割以上も占めており、5人に1人以上が女性です。 独立後は、仕事量を調整していくこともできますので、結婚、出産、育児などで仕事を離れなければならない時期があっても、家庭との両立もしやすいといえます。(平成27年度試験結果をもとにしています)。 |
地域を問わず、全国各地で活躍できる!
弁護士の活躍の場が大都市へ集中しているのに比べ、司法書士の活躍の場は大都市に限られません。 司法書士は、登記や相続、成年後見など、暮らしに身近な業務を取り扱っているため、地方の小さな街でもさまざまなニーズが存在します。地元で、またはUターン・Iターンで事務所の開業を目指す方にとって、非常に魅力的な資格といえます。
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代表的な業務としては、不動産や、会社に関する登記手続や、成年後見業務、裁判所などへ提出する書類の作成があります。このほかにも、身近な法律のトラブルを解決すべく、日常生活における法律相談など多岐にわたります。また、近年では、簡易裁判所での訴訟代理などの業務も増え、活躍場をさらに拡大しています。
不動産の売買や、相続などで所有者が変更になったときや、住宅ローンを返済し、抵当権を抹消するときには、登記手続きが必要となります。
このようなときには、司法書士の出番です。司法書士は、依頼者に代わってこれらの法律手続きを行い法的なサポートをすることができます。
大切な土地や建物などに関する様々な登記を依頼者に代わって行うことで、権利関係のトラブルを未然に防ぎ、依頼者の権利を保護していくのです。
会社の登記も司法書士の仕事のひとつです。
例えば、会社を設立するとき、役員を変更するとき、会社の本店を移転するとき、会社を解散するときも登記が必要になります。
また、一般社団法人や、NPO法人などの法人が設立、変更、移転、解散を行うときの手続きを代理することもできます。
成年後見制度とは、認知症などで判断能力が不十分になってしまった方の財産をや権利を守り、安心して暮らしていけるようにするための制度です。
既に判断能力が不十分となってしまった方を対象とする「法定後見」と、将来の認知症に備えて後見人を定める「任意後見」の2つがあります。司法書士は、保護を必要とされる方々に対し、これらの制度を通じて、様々なサポートを行っています。
裁判所に提出する訴状や答弁書などの書類を作成し、アドバイスを行うことで本人訴訟のサポートを行います。
また、法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所における民事紛争(請求金額が140万円以下)については、代理人となり、法定で弁論することができるようになりました。
供託とは供託所を通じてお金を納める制度です。司法書士は、供託所に提出する書類の作成や手続きの代理を行うことができます。
例えば、地代や家賃などのトラブルで、不払いの責任を免れるための供託したいときが挙げられます。
司法書士の業務内容の詳細はコチラ |
司法書士試験には、筆記試験と口述試験の2つの試験があります。
最終合格を勝ち取るためには、筆記試験を合格を経て、口述試験(面接)まで合格しなければなりません。
2つの試験のなかでは、筆記試験が特に重要になります。どちらも最終合格のためにクリアしなければならない試験ですが、口述試験は、現状では筆記試験合格者のほとんどが合格しています。そのため、筆記試験に合格することは、最終合格に直結する意味をもつのです。
試験の出願から最終合格までは、以下のスケジュールで進行します。
※日程については各年度で異なる場合がございます。必ず受験される年度の試験情報でご確認ください。
4月上旬から |
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5月上旬~中旬頃 |
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7月 第1週目の日曜日 |
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8月上旬~中旬頃 |
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10月上旬~中旬頃 |
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10月中旬~下旬(平日)頃 |
↓ |
11月上旬~中旬頃 |
筆記試験は、午前の部と午後の部から構成されており、すべて一日で行われます。
出題形式は、5つの選択肢から1つの正答を選択する択一式(マークシート)、登記申請書類の一部等を作成する記述式があります。
午前の部 9:30~11:30 | 〔択一式35問〕 憲法(3問)、民法(20問)、刑法(3問)、会社法・商法(9問) |
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〔配点〕 (択一式)各3点 計105点 | |
午後の部 | 〔択一式35問〕 民事訴訟法(5問)、民事執行法(1問)、民事保全法(1問)、供託法(3問)、司法書士法(1問)、不動産登記法(16問)、商業登記法(8問) 〔記述式2問〕 不動産登記法(1問)、商業登記法(1問) |
〔配点〕 (択一式)各3点 計105点、(記述式)2問(2科目)で計140点 |
※従来の筆記試験午後の部の記述式問題の配点は「2問で70点満点」でしたが、令和6年度以降の筆記試験から140点満点になる旨が令和5年12月4日に発表されました。
合格基準点は毎年変わりますが、概ね8割5分以上正解すればほぼ合格となります。
しかし、午前の部の択一式問題、午後の部の択一式問題、午後の部の記述式問題それぞれについて基準点に達しない場合は、それだけで不合格になります。
筆記試験合格者を対象に例年10月中旬~下旬頃に行われます。形式は口述(面接)式の試験になります。
2名の試験官からの問いに対し、口述で回答をしていきます。
所要時間 | 1人あたり約15分程度(開始時間はそれぞれ指定されます) |
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試験科目 | 不動産登記法 商業登記法 司法書士法 |
試験地 | 管区法務局ごとに、それぞれの局が指定した場所 |
司法書士試験の詳細はコチラ |
司法書士の資格には、魅力やメリットがたくさんあります。しかし、その司法書士になるには資格試験に合格しなければなりません。ここでは司法書士試験の合格難易度についてご紹介いたします。
司法書士試験の合格に必要な勉強時間は3000時間ほどと言われています。
毎日3時間の勉強で3年程度かかる計算になります。司法書士の合格には複数年の勉強も視野に入れたほうがよいかと思われます。
難しい試験といわれている司法書士試験の合格率は、近年は約3~5%前後を推移しています。
司法書士試験には、筆記試験と口述試験がありますが過去の実績を見ると口述試験はよほどのことがない限り不合格にはなっておりませんので、筆記試験を突破することに全力を注ぐことが大切です。
以下の表は過去の司法書士の合格率の推移になります。
年度 | 申込者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 (対受験者数) |
平成19年度 | 32,469 | 26,860 | 919 | 3.42% |
平成20年度 | 33,007 | 27,102 | 931 | 3.43% |
平成21年度 | 32,558 | 26,774 | 921 | 3.43% |
平成22年度 | 33,166 | 26,958 | 948 | 3.51% |
平成23年度 | 31,228 | 25,696 | 879 | 3.42% |
平成24年度 | 29,379 | 24,048 | 838 | 3.48% |
平成25年度 | 27,400 | 22,494 | 796 | 3.53% |
平成26年度 | 24,538 | 20,130 | 759 | 3.77% |
平成27年度 | 21,754 | 17,920 | 707 | 3.94% |
平成28年度 | 20,360 | 16,725 | 660 | 3.94% |
平成29年度 | 18,831 | 15,440 | 629 | 4.07% |
平成30年度 | 17,668 | 14,387 | 621 | 4.31% |
平成31年度 | 16,811 | 13,683 | 601 | 4.39% |
令和2年度 | 14,431 | 11,494 | 595 | 5.17% |
令和3年度 | 14,988 | 11,925 | 613 | 5.14% |
令和4年度 | 15,693 | 12,727 | 660 | 5.18% |
令和5年度 | 16,133 | 13,372 | 695 | 5.20% |
近年は、わずかに上昇していますが、合格率だけみると、依然として非常に難しい試験といえます。100人中、3~5人ほどしか受からない割合になりますので、このような難易度の試験の勉強をしても本当に合格できるのか、不安を感じられる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、約5%という合格率は、司法書士試験の合格を目指すうえでは、あまり気にする必要はないでしょう。
なぜなら、司法書士試験は、年齢、学歴に関わらず、受験申請さえすれば、どなたでも受験できる試験だからです。そのため、試験範囲の学習が終わっていない方や、学習途中の受験生が次年度の本格受験に備えて受験する方など、様々な学習状況の方が受験されています。受験資格が特別設けられていない分、受験生の受験時点の学力が一定とはいえないのです。
司法書士試験の難易度の詳細はコチラ |
司法書士の資格試験は合格率が約5%の難関資格と言え、自分に合格できるのかと不安になる方も多くいらっしゃるかと思います。それでも合格されている方がいらっしゃるということは勉強法次第できちんと合格できるということです。ここでは司法書士の効率の良い学習方法についてご紹介いたします。
スキマ時間を活用する忙しい毎日の中、勉強時間を確保するのは非常に大変です。疲れた中で勉強したり休日に無理に巻き返そうとしても、だんだん勉強が勉強が辛くなり、最後まで継続できません。たとえば通勤時間やランチタイム、就寝前や朝のお目覚め後のベッドの中で勉強できれば、1日1-2時間くらいは確保できるはずです。 ザッと最後まで勉強し、わからないところを繰り返し勉強する合格できない理由のひとつに、「全てを完璧に理解しながら勉強を進めてしまう」というものがあります。 これは試験までに勉強が終わらない原因にもなりますし、一度すべてをザッと勉強し、理解できなかったところを重点的に繰り返し勉強したほうが効率よく勉強できます。 出題されるポイントを抑え、点数が取れる範囲に絞って勉強する試験に合格しようと熱心に勉強するあまり、試験にあまり出題されない範囲にも時間をかけて勉強してしまうことがあります。 出題される範囲と量をきちんと理解して、勉強する時間配分を決めるのが理想です。 継続できる方法で勉強するこれもよくある落とし穴です。試験勉強を始めたときはやる気があるので、背伸びした勉強計画や、自分の生活リズムに合わない勉強法を選んだりシてしまいがちです。 するとだんだん勉強が苦痛になってきて、最後には勉強をあきらめてしまうという結果になってしまいます。 合格者の方の声を聞くと、「勉強継続のコツは毎日少しでも勉強を続けること」とおっしゃる方もいるので、椅子に座らなくても勉強できるなど、楽に勉強を開始できる方法を見つけておくと良いかと思います。少し勉強を始めると、スイッチが入って意外と勉強が進んだりもします。 司法書士資格試験の傾向を理解し、合格のテクニックを理解する試験には効率よく得点を取る学び方や勉強法があります。そこをしっかり理解して、戦略的に勉強することが勉強の効率を上げるポイントになります。本屋さんで書籍を購入したり、無料で勉強法を公開しているところもありますので、参考にしてみてください。 |
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